ライ麦を育てる


麦への思い

繊細なヒンメリが作りたい

 

ヒンメリを作り始めた頃、麦わらがなかなか手にはいりませんでした。麦を手刈りしなければヒンメリに使う部分が採れません。また当初、私は細い麦わらを使った繊細なヒンメリを作ってみたいと考えていました。ある方の協力で麦を自分で育てることに。「自分で育てた麦を使ってつくるヒンメリは何かが違ってくるはず。自分が育てた素材を使い作ることで本物になるのではないですか」と言われ、納得がいきました。

 

自分で作るのであれば、無農薬で作ろう。ワークショップに参加頂く方々に、安心できる麦わらで楽しんでもらいたいと、この3年間そうしてきました。 農家さんのような「作るプロ」ではありませんので、少しずつ進めています。フィンランドでお世話になった方に自分で麦を作っていると話したところ、「あなたはSISU(シス・フィンランド魂)があるわね。」と言って頂き、本当に嬉しかったです。 思いを、1つ1つていねいに形にしていこうと心に決めています。

 

大きなヒンメリを作るには太い麦わらが必要ですが、その麦も作れるようになれたら理想です。また、いつか種まきから始めるワークショップが出来たら素敵だなと想っています。成長過程を見守って刈り取り、下処理しクリスマスの準備として、ヒンメリやオルキプッキなどの麦わらのオーナメントをつくる…。フィンランドの昔から行われている手仕事を四季を通し体験できたら、きっと楽しいと思います。

 

 ーこの文章は2013年にアップしたもので、2010年の出来事を書いています。いまから11年前。実現出来たこと、まだまだなこと、これから目指していること。12年目の新しい春が巡ってきます。2021/04/01


麦わらのポンポン

出版本で紹介の飾り

 

収穫した麦わらは、ヒンメリだけではなく写真のようなポンポンをつくってみるのも楽しいですね。2018年出版の「ヒンメリをつくる」ではヒンメリの飾りとしてアレンジしました。インテリアグッズとして飾り棚などの装飾品としても素敵です。

 

以前あるイベントで建築関係のオーナーの方と出会いました。その会社では麦わらを圧縮した建材を扱っていて、ヒンメリをご覧になり麦わらが造形物になっていることに大変驚いていらっしゃいました。麦を通してたくさんのお話をしました。写真がその建材「ハーベストパネル」麦わらと同じ黄金色に輝いています。

 

実は食べ物になり(フィンランドでは飲み物にも)、わらはヒンメリにはもちろんですが牛の飼料や寝床にもなります。そしてこのように建材にも。麦わらは、私達の暮らしの様々なところで用いられている素材なのです。ー2019年アップした文章へ加筆しました。2021/04/01



本格的に雪に覆われます

12月のライ麦

 

ここしばらく雪が降っても翌日朝には溶けていましたが、今朝は気温が上がらず写真のようになっていました。今後さらに積もって1m以上になりますが、これまでしっかり光合成し蓄えた力で春を待ちます。

雪解け直後は、このような状態から復活するの…?と不安になる姿ですが、どんどん勢いを増し最終的な高さは2m近くになっています。

 

麦を育てていて、これほど自然の繰り返しに安心感を覚えた年はありませんでした。雪で埋め尽くされ何も見えなくなっても、その下で目覚める時を待っているライ麦たち。新しい年の希望そのものです。2020/12/05


来年に向けて

秋蒔きライ麦

 

播種からの変化がとても速く毎朝確認する度ぐんぐんと伸びている印象です。この畑も、もう1ヶ月もするとうっすらと雪が覆ってしまいます。その時が来るまで楽しみは続きます。

 

ヒンメリプロジェクトで関わっている酪農学園大学さんのご縁で知り合ったベーカリーがあるのですが、こちらは大学のライ麦を使ったパンを焼いていらっしゃいます。ライ麦80%のPumpernickelは、私の先生も大のお気に入りです。ライ麦パンはビタミンB類をはじめミネラル・食物繊維などの栄養素を豊富に含んだ低GI食品で、健康的な食事を意識されている方たちが買って行かれるそうです。

 

実は食べ物になり、わらはヒンメリになって飾られる。プロジェクトの根幹となる「循環」を実感する出会いとなりました。ライ麦を育てヒンメリを作っていることでつながるご縁をまた一つ頂きました。2020/10/17


収穫を終えて

2014年に思っていたこと

 

ヒンメリに使用する麦わらは刈り取った後もたくさんの作業が続きます。私が良いと思う稈(カン)の太さや色、それは1本ずつ手に取り選り分けていくしかありません。作品を作る時もワークショップに参加される皆さまがお使い頂く麦わらも全て同じ行程で用意しています。日本でも沢山の方がヒンメリ作りを楽しんでいらっしゃいますが、作り手の素材選びにもその人だけの個性が反映されているのだと思います。

 

2010年より麦を育て始めましたが、素材に対する思いが実を結ぶまでにはまだまだ道のりは続きます。私は自分が「美しい」と感じる素材を使いヒンメリを作り続けたいと思っています。正八面体1つにも作る人によって表情が変わります。作品に至るまでの見えないプロセスが違いを生むのかもしれません。

 

「麦わらで作るモビール、ヒンメリ」。麦ではなく別な素材でもさまざまに創作されますが、私はやはり麦わらで作るヒンメリが美しいと思っています。フィンランドの伝統装飾の素晴らしさに衝撃を受けた時から変わらず心にある思いでもあります。自然素材を手にもの作りをする。つややかな麦わらの感触を楽しんで頂く。素材を作るところから携わっているからこそ、お伝えできることもあると感じています。

 

 ーこの文章は2014年に書いたものですが、7年経っても変わることのない思いです。これまでワークショップでお会いした皆様との交流、酪農学園大学さんとのプロジェクトへと、この思いはつながっています。2021/04/01